2023-02-26

境界線

コミュニケーションをあきらめた時、機能だけが残る。逆説的に、機能をつきつめるとそこからコミュニケーションが消える。自動販売機と会話している人がいたらちょっと怖い。エレベーターはいつでも従順だ。昔ながらの亭主関白はフロ、メシ、ネルの三単語の会話で家庭生活を送っていたらしい。 コンビニで「番号でお願いします」と言われても銘柄でタバコを買おうとするお爺さんは機能追求な風潮への反逆者*1だ。人間というめちゃくちゃ柔軟なインタフェースはどんどん贅沢品になっていく。スパチャじゃなければ言葉は届かない。

そして究極的に、お前が勝手にやれ、という形式になる。"セルフサービス"という言葉を考えた人は天才だ。商品を自分で手にとって選べるのは楽しい、Win-Winだ。肉を自分で焼けて楽しい、Win-Winだ。ガソリンを自分で入れるのは、あんまりおもしろくない。商品をひとつひとつ取ってバーコードリーダーに通すのは、けっこうめんどくさい。どこまでセルフに頼れるか、人件費の押し付け合いは果てしない。

木曜日に駅前の店で食べたスープカレーは、ごろごろなんて言葉がぴったりな野菜がたくさん入っていた。もうちょっと小さく切ってくれ、と思った。

*1:traitor